睡眠不足だと筋トレの効果は落ちる?筋肉と回復の関係

筋トレをした日は、しっかり眠った方がいい。

まあ、これは当たり前の話です。

しかし、睡眠不足によって実際に何が起きるのでしょうか。

筋力が出なくなるのか。筋肉が作られにくくなるのか。それとも、少しくらい寝不足でも、筋トレの効果にはそれほど影響しないのか。

調べてみると、このあたりは意外と単純ではありません。

一晩眠らないと、筋肉を作る反応が落ちた

健康な若い男女13名を対象にした研究があります。

この研究では、参加者に「普段どおり眠る日」と「一晩まったく眠らない日」の両方を経験してもらい、翌日の筋タンパク合成を比較しました。

筋タンパク合成とは、簡単にいえば、筋肉の材料となるタンパク質を新しく作る働きです。

結果、一晩眠らなかったあとは、食事後の筋タンパク合成率が18%低下していました。

さらに、ストレス反応に関わるコルチゾールも上昇しており、一晩の徹夜だけでも、身体が筋肉を作りやすい状態から少し離れてしまう可能性が示されています。

研究はこちらです。

The effect of acute sleep deprivation on skeletal muscle protein synthesis and the hormonal environment

ただし、ここは注意が必要です。

この研究で行われたのは、睡眠時間を少し短くする程度ではありません。

一晩まったく眠らない「完全な睡眠不足」です。

したがって、普段より1〜2時間短く眠っただけで、筋トレの効果が18%落ちるという意味ではありません。

寝不足と徹夜を、同じものとして扱うことはできません。

寝不足でも、筋力は意外と残る

では、睡眠不足になると、すぐに筋力も落ちるのでしょうか。

睡眠不足と筋力に関する17件の研究をまとめたレビューでは、一晩程度の睡眠不足は、レジスタンストレーニング中の筋力に大きな影響を与えない場合も多いと報告されています。

寝不足でも、意外と重量は持てるわけです。

一方で、睡眠時間の不足が数日続いた場合には、単関節種目よりも、スクワットやベンチプレスのような複数の関節を使う種目で、力を発揮しにくくなる可能性が示されました。

研究はこちらです。

Inadequate sleep and muscle strength: Implications for resistance training

ここが少しややこしいところです。

その日の筋トレで普段と同じ重量を持てたからといって、睡眠不足の影響がまったくなかったとは限りません。

筋力は維持できていても、筋肉を作る反応や、その後の回復状態まで同じとは限らないからです。

同じ運動でも、普段よりきつく感じやすい

2025年には、睡眠不足と運動パフォーマンスに関する45件の研究をまとめたメタ解析も発表されています。

この研究では、睡眠不足によって持久力、最大筋力、瞬発力、スピード、動作の正確さなどがどのように変化するかが調べられました。

全体として、睡眠不足は運動パフォーマンスを低下させ、運動中の「きつさ」を強く感じさせる傾向が確認されています。

ただし、影響の出方は運動の種類や対象者によって違います。

健康な非アスリートでは、最大筋力の低下は統計的に明確ではなかった一方、有酸素運動の能力は低下していました。

つまり、寝不足になると、必ずすべての能力が落ちるわけではありません。

しかし、同じ運動をしても普段より疲れやすくなったり、長く続けにくくなったりする可能性はあります。

研究はこちらです。

Effects of sleep deprivation on sports performance and perceived exertion in athletes and non-athletes: a systematic review and meta-analysis

寝不足の日は、筋トレを休むべきか

では、睡眠時間が短かった日は、筋トレを中止した方がよいのでしょうか。

健康維持が目的なら、必ずしも休む必要はありません。

一晩あまり眠れなかったからといって、それまで積み重ねてきた運動の効果が消えるわけではありません。

むしろ、少し身体を動かした方が、生活リズムを保ちやすい人もいるでしょう。

ただし、

  • いつもの重量が妙に重く感じる
  • 強い眠気がある
  • 集中できず、フォームが安定しない
  • 数日続けて睡眠時間が不足している
  • 体調そのものが悪い

という場合は、普段と同じ内容を無理に行う必要はありません。

重量を少し軽くする。

セット数を減らす。

限界まで追い込まず、数回の余裕を残す。

複雑な種目や高重量の種目を減らし、動作を丁寧に確認する。

トレーニングを完全にゼロにするのではなく、その日の回復状態に合わせて量を調整するわけです。

睡眠もトレーニングの一部

筋肉は、トレーニングをしている最中に完成するわけではありません。

筋トレによって刺激が入り、その後に栄養を摂り、休息することで身体が適応していきます。

そのため、筋トレだけを頑張っていても、睡眠不足が慢性的に続けば、思うように回復できない可能性があります。

反対に、一晩眠れなかったからといって、運動習慣そのものを止める必要もありません。

寝不足の日は少し軽くする。

よく眠れた日は、しっかり取り組む。

毎回同じメニューを守るよりも、睡眠や体調に合わせて内容を調整する方が、健康維持のための運動は長く続けやすくなります。

Weavingでは、その日の体調や生活状況も確認しながら、無理なく継続できるトレーニングをご提案しています。

参考文献

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